世界中のクラシック音楽ファンが、一度は訪れてみたい街・ザルツブルク。モーツァルトが生まれ育ったこの街に、世界の一流の音楽家・演奏家・アーティストが集まるイベントがあります。
それが、夏のクラシックファン最大のイベント「ザルツブルク音楽祭」です。
出典 http://www.goldener-ochs.at/
7月22日(金)に開催されるヨーロッパ室内管弦楽団によるオーケストラを皮切りに、8月31日(水)のライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の公演まで41日間192の公演が行われます。
美しいヨーロッパの街並みと、心を震わせる感動の音楽。音楽ファンなら行ってみたい憧れの音楽祭をご紹介します。
ザルツブルクってどんな街?
オーストリアの古都・ザルツブルク。ドイツのミュンヘンから東へ140キロ、オーストリアの首都ウィーンからは西に300キロに位置します。
その歴史は古く、紀元前から岩塩の交易で発展した町です。6世紀ごろにはカトリックの司教区管轄地として認められており、「北のローマ」「北のフィレンツェ」と呼ばれていました。
そんな歴史の趣ある美しい旧市街は、ユネスコの世界文化遺産に「ザルツブルク市街の歴史地区」として登録されており、毎年多くの観光客でにぎわいます。
モーツァルトの生まれ育った音楽の都
偉大な作曲家のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが生まれ育ったこの町は、「音楽の都」として世界的に有名です。
また、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台にもなるなど、ザルツブルクと音楽は深いつながりがあります。
市内には、岩盤をくり抜いて建築された世界最大級の劇場であるザルツブルク祝祭大劇場や、モーツァルトが5歳で音楽会を開いたレジデンツ広場等があり、クラシック音楽ファンが一生に一度は訪れてみたい街となっています。
ザルツブルク音楽祭って?
このザルツブルクが最も世界中から注目を集める期間が、ザルツブルク音楽祭が行われる夏の5週間です。
クラシック音楽界最大のイベントとも言われ、世界中から一流の指揮者やオーケストラが集まり41日間で192の公演が行われます。
この街生まれのモーツァルトの作品から現代音楽や新作オペラまで幅広くひらかれるのも特徴のひとつ。
今年もトーマス・アデスの新作「皆殺しの天使」を初め、世界初公演のオペラが注目を集めています。
ザルツブルク音楽祭の注目の3公演
41日間192公演もあると、どれを見ればよいのか迷いますよね。
そこで、今年2016年の音楽祭で注目が集まっている見どころの公演をピックアップしてみました。
(1)アンナ・ネトレプコが出演する『マノン・レスコー』
今年3月に来日公演を行い話題となったロシア出身のソプラノ歌手、アンナ・ネトレプコ。
その美貌ときらびやかさは、「クラシック音楽界で最もセクシーなベイビー」としてプレイボーイ誌によって選ばれています。
彼女は、8月1日、3日、7日に『マノン・レスコー』に出演予定。時代と恋愛に翻弄される魔性の女を演じます。
(2)ズービン・メータの指揮するウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
インド出身の巨匠ズービン・メータが指揮するのは、世界一有名なオーケストラと言っても過言ではないウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。
ズービン・メータは日本とも関係が深く、2011年の東日本大震災では東京都で被災をしています。
その後数々の演奏会が中止される中、4月に再来日し、NHK交響楽団を指揮して第九を演奏して大きな感動を呼びました。
8月6日・8月7日に出演し、マーラーの「亡き子を偲ぶ歌」等を演奏する予定です。
(3)トーマス・アデスの新作オペラ「皆殺しの天使」
世界初演のオペラが上演されるのも、この音楽祭の魅力です。
このオペラを作りあげたイギリスの作曲家・指揮者・ピアニストのトーマス・アデスは、シェイクスピアの戯曲「テンペスト」をオペラに仕上げ話題を呼びました。今回の「皆殺しの天使」も同名のメキシコ映画を題材としてアデス流のアレンジを加えています。
7月28日に世界初演です。
超プレミアチケット問題とツアーへの参加
この音楽祭には、世界中のクラシック演奏家とクラシックファンが集まります。そこで問題になるのがチケットの売り切れと高騰化です。
「お目当ての公演を何としても見たい」という方が多く集まるため、人気公演のチケットは即日完売。時には数十万を超える高値で取引されることもあります。
「どうしても見たかったのにチケットが取れなかった…」
そんな時におすすめなのが、旅行会社の主催するツアーで参加するという方法です。
旅行会社では、人気のある公演の席を目玉として抑えてツアーを募集しますので、売り切れてしまっている公演でも見ることのできる可能性があります。
ただし、中にはステージから遠い、いわゆる「ハズレ席」が用意されているツアーもあるので注意して選びましょう。
服装とドレスコードは?
日本からは、飛行機で約14時間半。直行便が出ていないため、ウィーンやフランクフルトで乗り継いでの旅となります。
また、ザルツブルク音楽祭は世界中のセレブたちも集まる格式ある場のため、服装にも気を遣いたいところですよね。正式なドレスコードはあったりするのでしょうか。
プログラムには「ふさわしい服装でない方は入場をお断りします」とはっきり明記されています。
完璧な正装であれば、男性は燕尾服かタキシード、女性は床までのロングドレスということになります。しかし、現地のセレブ達は正装ですが、旅行客として参加する分にはそこまで改まらなくても良いでしょう。男性ならダークスーツにネクタイ、女性なら膝丈のワンピース程度でも問題視されることはありません。
ちなみに、昼公演の方は若干ドレスコードが緩くなっています。初めてで緊張するという方は、まずは昼公演から参加してみるのが良いかも知れません。昼でちょっと慣れてから、夜公演に参加する方が雰囲気も事前に分かってより楽しめるのではないでしょうか。
まとめ
ここまで、ザルツブルク音楽祭についてご紹介してきました。
この音楽祭が創設されたのは90年前。第一次世界大戦が終わったばかりのころでした。
争いあったヨーロッパの人々が、お互いを良き友人として関係を修復することを願った人々の思いで生まれたものです。
今年はザルツブルクで世界の一流アーティストが奏でる音楽を聞きながら、平和と友情に思いをはせてみるのはいかがでしょうか。