西日本から関東地方にかけて梅雨入りが発表され、どんより曇りや雨の天気が続いています。気分が落ち込んでしまいがちな中ですが、そのような中で梅雨という季節を楽しみながら数多くの方が俳句を詠んできました。
今回はこの時期に詠まれる俳句で使われる季語の紹介と、代表的な梅雨を詠んだ俳句10選をご紹介します。梅雨の景色に感じる独特の情景や雰囲気は現在とは異なる部分もありつつ、思わずはっとさせられる句も多く残っています。どうぞじっくりと味わいながらご覧ください。
梅雨の代表的な季語は?
季語とは俳句の中で季節を表すために使う言葉です。「梅雨」という言葉も季語ですが、梅雨という言葉に似たような季語がいくつもあるのをご存知ですか?
例えば「五月雨」は旧暦の5月に降る雨、つまり現代の6月にあたる時期の降り続く雨を表す季語になります。
梅雨の中でも「梅雨晴」(梅雨の一時的な晴れ間)「梅雨曇」(梅雨の曇り空)「空梅雨」(降水量が少ない梅雨)など、現在でも天気予報などで見かける言葉もあります。
また梅雨に咲く花として「紫陽花(アジサイ)」「梔子(クチナシ)」などを季語として用いた俳句もあります。
梅雨を代表する俳句10選
梅雨を詠んだ歴代の俳人や文豪たちの心に染みる俳句をご紹介します。
五月雨をあつめて早し最上川 – 松尾芭蕉
出典 http://members.jcom.home.ne.jp/
有名な松尾芭蕉の俳句です。五月雨(梅雨)に降る雨が最上川に集まって、流れが速くなっている様子を表した句になります。
最上川とは山形県に流れる川で、雨が降り続いて川の流れが勢いづいている様子を力強く詠んだ句として現在の教科書などでも取り上げられています。
その川の流れの勢いがものすごいことが句を眺めるだけで伝わってきますね。
五月雨や桶の輪切るる夜の声 – 松尾芭蕉
こちらも季語「五月雨」を用いた芭蕉の句です。桶に雨水が溜まっていく中で、ぽつぽつと音を立てていたが抑えきれずに一気にザーと流れ出す音の変化を表した句です。夜に響く雨の音はなぜか情緒的に感じられますね。
さみだれや青柴積める軒の下 – 芥川龍之介
芥川龍之介が詠んだこの句は、軒の下に集めた柴が「さみだれ」で湿ってしまっている様子を表しているのでしょう。燃料などに利用するにも、湿ってしまってはなかなか火がつかないもどかしさも感じられます。
降る音や耳もすう成る梅の雨 – 松尾芭蕉
降り続く梅雨の雨の音は、耳が吸うほど聞き飽きたというとらえ方もできますし、雨の降る音ももう耳に染みついて趣を表しているともとらえることができますね。
梅雨荒し泰山木もゆさゆさと – 日野草城
出典 http://blog.livedoor.jp/kuroturu/
泰山木(タイサンボク)とは6月から7月にかけて白い花を咲かせる木のことです。よく公園などで見られる大きな樹がゆさゆさと揺れるほどの大雨が降っている様子を表しています。
「ゆさゆさと」というフレーズがこの句をまとめていて、荒い天候のなかでも落ち着きを感じさせるような句になっています。
梅雨の傘たためば水の抜け落つる – 長谷川櫂
雨の降った傘をたたむと水が落ちるのは当たり前ですが、梅雨の空の中でなんとなくその滴がゆっくりと流れ落ちる情景を表している様子が浮かび、風情を感じさせます。
梅雨晴れや蜩鳴くと書く日記 – 正岡子規
出典 http://midori36.blog.eonet.jp/
梅雨の晴れ間に蜩(ヒグラシ)が鳴いています。雨が続く、あるいはどんよりとした天気が続く中で一瞬の晴れ間を縫って鳴くヒグラシの音は、私たちに夏の訪れを感じさせ、梅雨の終わりも近いことを知らせてくれます。
から入梅の舟引人も荷にまけな – 望月宋屋
雨が少ない様子をうまくあらわしていると感じる句です。雨が少ない空梅雨の中で、水路の水量が減っています。その様子は船を引く船頭が荷物の重さに負ける(まかれる)くらいだと表現をしています。
紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 – 正岡子規
紫陽花(アジサイ)が色を変えていく様子は心のうつろいでいく様子とも似ているということを表しています。紫陽花という季語が入っているだけで、心のうつろぎに加えて切なさも増している印象を受けます。
今朝咲きし くちなしの又 白きこと – 星野立子
咲いたクチナシの花がとても白いことに感動している句になります。その美しさは雨降りの中でも一層映えて感じられるのではないでしょうか。
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まとめ
梅雨の俳句、あなたはどう感じたでしょうか。梅雨一つとっても、様々な景色や情景、趣を感じられるものばかりだったと思います。
じめじめした梅雨の中で気持ちが憂鬱になりがちな中ですが、ほんの少し視点を変えるだけで感動ができる、ほっとできるような体験というのは誰しもできるのではないかと感じさせられます。
外出して見ることができる景色だけでなく、家の中で聞こえる雨音や感じる湿気なども、時によっては私たちの感情を突いてくるものなのではないでしょうか。
あなたもこの時期ならではの「心」を感じ、俳句を詠んでみるのはいかがでしょうか。