最近、豊洲市場問題で設置が否決されまた注目を集めることになったこの百条委員会。少し前には、舛添都知事の政治資金問題などでも百条委員会設置の要否が取り沙汰されました。地方の首長などを追い詰める最後の手段などとして、よく報道されていますがその実態をご存知でしょうか。なぜ首長や議員たちはこの委員会の設置を恐れるのでしょうか。
今回はこの百条委員会について、その意味と役割を考察してみたいと思います。
百条委員会って?
百条委員会は地方自治体が設置する特別委員会の一つです。「地方自治法第 100条 」に基づいて設置されるため、この名称となっています。主に事実関係を判明するに当たって、通常の手続きではそれが難しい場合や時間がかかる場合に設置されることが多いです。
この委員会が非常に有効であると言われる所以は、関係者への聞き取りや記録の提出の請求に対して、拒否した場合に禁固刑を含む罰則が与えられることにあります。
この罰則を恐れる首長や自治体内内の関係者を、追い詰めたり圧力をかけるために設置されるということですね。
過去に設置された事例

百条委員会は過去様々なケースで設置されています。ここでは、実際に設置された事例及び設置が検討された事例をご紹介します。と言っても、お金の問題ばかりですが。
◇猪瀬直樹東京都知事【2013年】
徳洲会からの資金提供問題で5000万円を受け取った猪瀬都知事に対して、百条委員会が設置されました。
設置されたのは同年12月18日でしたが、猪瀬都知事は何と翌日の19日には辞任表明をしています。あっさり観念したのでしょうね。この委員会の恐ろしさがよく分かる事例です。
また、同じく都議会では2005年にも設置されていて、当時の浜渦武生副知事が偽証で辞任に追い込まれています。
◇山野之義金沢市長【2014年】
金沢市内に競輪場外車券売場を設置する計画が持ち上がった際、特定のビル管理者に設置を融通する利害誘導を行ったとして百条委員会の設置が検討されました。
これは設置をちらつかされたことで、山野市長は任期途中で辞職することになりました。
◇海老根藤沢市長【2012年】
農地の不当取得問題で百条委員会が設置されています。市内善行地区にある利用価値がほとんどない農地を、1億円という考えられない高額で取得したことが問題視されていました。
当初は農地の重要性を訴え謝罪を拒んでいた市長ですが、最終的には謝罪に追い込まれました。
ちなみに、この後の選挙ではしっかり落選しています。
百条委員会の意味と役割
ここまでの事例でもわかる通り、百条委員会は強い権限を持っています。これにより辞職に追い込まれたり、設置検討段階で辞任表明する首長もいるくらいです。
最大の意味は、地方行政への監視機能を強力に行使してくれるというところでしょう。また、これがあることにより不正への一定の抑止力が働くことが期待できるということでしょう。
これが設置されるとジ・エンドと考えている政治家は少なくありません。なので、設置させないよう党を挙げて手段を講じるようなシーンも見受けられます。
可能であれば、設置までのハードルをもう少し低くすることも検討してもらいたいものです。議会が設置を否決しても住民投票や署名で設置できるようにしてしまうのも、一案として検討してほしいですね。
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まとめ
百条委員会の意味と役割について考察してみました。
政治家の不正は未来永劫なくなることはないのでしょうが、少しでも不正を暴き抑止力を働かせるために百条委員会は非常に有効であると思います。
今後も、党の都合ではなくて国民の利益を優先して有効活用してほしいものです。