ここ10年くらいで普及しだしたマタニティマーク。妊婦への理解や労わる気持ちを持ってもらうために厚生労働省が配布したものです。ところが、最近は事情が変わって妊婦はつけたがらない人が多いそうです。
つけると危険な目にあう、嫌がらせされる、つけるのが申し訳ない、などというのが理由のようです。
妊婦たちがこのような目にあうのはなぜなのか、経緯と世間の認識を交えながらお伝えします。
マタニティマークって?
マタニティマークとは妊産婦の存在を喚起するためのマークで、外見からは判別が難しい妊娠初期の妊産婦への理解を求めることを主目的としています。
かつては各自治体や民間団体がそれぞれでマタニティマークを作成していたのですが、異なるデザインのために認知度が向上せず統一したデザインが必要であるとの声が高まりだしました。これを受けて、2006年に厚生労働省がデザイン公募の上で決定したのが現在のマタニティマークということです。
◇どこでもらえる?
マタニティマークのもらい方ですが、いろいろな方法があります。
JRや各私鉄などの窓口で配布されていたり、初めてのたまごクラブの付録についていたりします。また、各自治体では母子手帳とともにバッジが交付されていますね。
◇マタニティマークをつける本来の意味
誤解しがちですが、これは「妊婦だから優遇してください!」と言っているわけではないのです。
妊娠初期は外見で妊婦だと分からなくとも、つわりに苦しんだり赤ちゃんの成長が不安定で疲労ストレスが大敵な時期です。また、流産の可能性も高い危険な時期でもあります。
そのようなデリケートな時期ですので、苦しそうな様子を見かければ手を差し伸べてあげてほしい、そのような意味からつけているのです。
妊娠初期の不安定な状態を世間側もしっかり認識する必要があるでしょう。
つけることによる危険や嫌がらせ
実際に危険な目にあったり嫌がらせを受けたりする妊婦さんはいます。電車内で押しのけるようにしてわざとお腹を押したり、足を引っかけられたり、暴言を浴びせられたりなど多数SNSなどで事例はあがっています。
妊婦さんを気遣おうというこの取り組み自体は非常に良い印象を受けるのですが、なぜこのような目にあってしまうのでしょうか。
理由は種々あるのですが、主には一部の世間の受け取り方にあるようです。
◇世間が考えるマタニティマーク
一部世間の人たちがマタニティマークを誤解してしまっていることが理由の一つにあるでしょう。
このマークをつけていたら、「絶対に席を譲らないとダメ」、「譲るのが当然」、「気遣え」という 水戸黄門の印籠 のような威圧感を感じるというものや、「幸せアピールをしている」、「自慢している」という周囲に見せつけているような印象を与えているというものです。
妊婦さん本人はそう思っていなくても周囲がそう感じてしまうという、不幸な認識のずれから残念な事態が発生しているのかもしれませんね。
◇一部の妊産婦による横柄な態度
こんな妊婦さんはごく少数かと思いますが、実際に報告は挙がってきています。
「自分は大事にされて当たり前」という考えから、公共交通機関などで席を譲られるのは当然という認識を持ってしまっているということです。
これみよがしに優先座席の前に立ってマタニティマークで威圧したり、席を譲らないことに延々と不満を言ってご老人をどかせたり、譲られてもお礼の一つも言わないというような事例です。
根本には善意からの助け合いという意味合いがあるので、譲るのが当然というような意識が表に出過ぎると世間の理解を得ることは難しくなってしまうでしょう。
ただ、このように行動する妊婦さんはごく一部であって、圧倒的多数の妊婦さんはそうではありません。当然ながら感謝の気持ちを持っていますし、むしろ遠慮して優先座席には近づきもしない人もいるくらいです。
問題なのは一部モラルのない妊婦のせいで、普通の妊婦さんに迷惑がかかっていることでしょうね。
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◇一部世間の認識と一部妊産婦のモラルによる結果
ということで、結局は一部の世間と妊産婦によって、現在の不幸な事態が起こってしまっているのでしょう。
妊婦さんに実際に危害を加えるなどは言語道断ですが、このように結果として普通の妊婦さんが怖がってマタニティマークを付けられないという事態は本当に残念だと思います。何の罪もなく気遣いが必要な妊婦さんに遠慮させている状況は悲しいし、世界的に見ても恥ずべきことですね。
一部常識のない世間の人たちと一部モラルのない妊婦さんたちは、大勢の人に迷惑をかけていることに気付いてください。
まとめ
マタニティマークについて考察してみました。
簡単に結論を言ってしまうと、最低限の他人への気遣いや配慮があれば起こりえない問題なのだと思います。本来のあるべき姿に戻ってほしいですね。(自身が健常者であれば)妊婦さんがいたら席を譲ってあげる、席を譲られた妊婦さんは軽くお礼を言う、ただそれだけのことじゃないでしょうか。
温かい目で妊婦さんを気遣ってあげられるそんな世の中になってほしいですね。