第74期名人戦七番勝負の第5局が、5月31日に行われました。
将棋界で 貴族 の異名を持つ佐藤天彦八段が、羽生善治名人に勝利し新名人に。28歳4カ月での名人獲得は史上4番目の若さです。
ついに名人位を奪取し初タイトルを獲得した若き実力者、佐藤天彦新名人。なぜ彼は貴族と呼ばれているのでしょうか。今回はこの謎(というほどでもないのですが)を解き明かしてみたいと思います。
佐藤天彦って?
お察しの通り将棋のプロ棋士です。終盤の粘り強さに定評があり、トップ棋士相手の逆転勝ちは数知れず。未来の将棋界を担う逸材との評価もあります。つまり、かなり強いです。
こちらは、今回の名人戦七番勝負の第二局での驚きの逆転劇↓
◇三段リーグ(プロ入り一歩手前)
2002年に三段リーグに参加しました。この時代に彼は2つのエピソードを持っています。
1つ目はフリークラスの棋士としてのプロ入り権利の放棄です。そして、2006年にはフリークラスではなく順位戦に参加できる棋士として見事プロデビューを果たしました。プロ入り権利放棄の真意は分かりませんが、フリークラスでのプロ入りを邪道と感じていたからでしょうか。もしくは既にタイトル戦で戦うことも想定して、ここを勝ち抜けないようでは上で戦えないと考えていたのかもしれませんね。
2つ目は61年振りのプロ編入試験として注目された、瀬川晶司の第一局の相手(試験官)を務めたことです。対戦相手に抜擢された理由として、かつて奨励会を退会して再度プロ入りに挑戦している瀬川に対し、佐藤はフリークラスのプロ入り権利を放棄していることから、三段リーグで必死に戦っている奨励会員たちへの配慮をするのにふさわしいとのことでした。
この2つのエピソードからも、通常のプロ棋士たちとはやや異なる、独特の勝負師感を持っていることが窺えますよね。
◇プロ入り後
デビューから負けなしの怒涛の9連勝を飾ります。その中には元タイトルホルダー3人も含まれており、デビュー直後から頭角を現します。
その後も順調に昇段・昇級を重ね、2015年には段位八段、順位戦A級(最上位)昇級を果たしました。さらにこの年には、王座戦で、羽生善治王座(名人・王位・棋聖)と初のタイトル戦を争うこととなります。
将棋界では順風満帆のまさにエリート街道を進んでいると言って良いでしょう。
将棋界の貴族|佐藤天彦
さて、佐藤天彦はなぜ貴族と呼ばれるようになったのか。それは、彼のファッションセンスと、趣味にあると言われています。
◇貴族のファッション
好きなブランドは「アン・ドゥムルメステール」で、表参道の直営店で揃えに揃えた着数は何と100!
こんなおしゃれ過ぎるのを着こなすのはハードル高すぎます。
そして彼は、ちょいちょいマントを着用します。仮装ではなく私服だそうです。
出典 https://twitter.com/ametsugu_naoe/
さすがです。これは貴族じゃないと着ることすらできないでしょう。
◇貴族の趣味
趣味の音楽はクラシック音楽です。
それも、モーツァルトやベートーヴェンといった古典派音楽を好んで聞くらしく、上品さが窺えますね。庶民とは養う感性も違うのでしょう。
◇貴族の投了
極めつけは勝負が負けた時の投了です。棋士にとって投了とは非常に悔しいもので、水を飲んでから「負けました」という棋士の方も多いくらいです。
貴族佐藤天彦は一味違います。リップクリームをたっぷ塗ってうるおいをたっぷり含ませた唇で「負けました」というのです。負け方も美しい彼は完全な貴族と言えるでしょう。
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まとめ
貴族佐藤天彦についてご紹介しました。
将棋界を含め勝負の世界は個性や我の強い人間の集まりとは言いますが、貴族までいたとは驚きです。彼は実力も折り紙付きですから、このまま強い佐藤天彦であって欲しいですね。ファンの皆様も弱い貴族はあんまりみたくないでしょうから。。。
これからも強く美しい貴族として将棋界を席巻してください。